食文化エトセトラ
とある昼下がり、遅めのランチに出かけ無性に八角の味が恋しくなった私は、会社近くの台湾料理屋に入ったのです。
私は一人であるにも関わらず、奥の4人席に通され広さを持て余していたのですが、ふと目をやると店内の大きめのスクリーンに動画が流れていました。
台湾料理屋なので、台湾風の動画なのですが、その内容はある一人の専門家にインタビューしているものであり、私が見始めた時に交わされていた会話が次のようなものでした。
「パイナップルケーキに合うお茶はどのようなお茶なのでしょうか」
「それは本末転倒です。なぜパイナップルケーキが生まれたかを考えるべきです。」
ほう。
「古来よりお茶をいかに楽しめるかということに、先人は知恵を絞って来ました。お茶菓子はその一つであり、お茶の風味をより楽しむために様々な食感、形、色の菓子が生まれ、パイナップルケーキはその一つであります。お茶がまず先で、お茶に合うお茶菓子を選ぶのです。」
うるさ。
正直こだわりが強くてうるさいなと思いました。別にパイナップルケーキに合うお茶すぐ教えてくれたらいいじゃんって思いました。
しかし、さらに動画を見続けていると、
「台湾の醤油は傑作です。例えば外国の人が台湾の醤油を味わったら、必ずお土産に持ち帰るでしょう。一度味わったら忘れられないのです。台湾の醤油は誇りであり、台湾の文化です。我々はこの文化を守り続けて行く義務があります。」
台湾の醤油ってなに…というのが率直な感想ですが、食文化への異常なこだわりを見て、なんだか食文化というのはいいものだなと思いました。一連の動画を見た後に飲んだ付け合わせのスープは八角の風味と醤油の香りが絶妙に美味しく感じました。
知識は人生に彩りを添えると思います。
例えば現代アートの絵の具を撒き散らかした絵を見たとき、何も知らずに見ても何もわからないし感じないかもしれませんが、その背景にある作家の信念を知ると絵の印象がガラリと変わります。
一つの茶碗をとっても、その製作技法の真髄を知った上でお米を予想と、米一粒から感じる有り難みと味わいが全く変わって来ると思います。
私たちは毎日食べ物を食べていく中で、その食べ物についてどれくらい知っているのでしょうか。それは歴史ある料理や郷土料理である必要はなく、例えばファストフードやファミレスってどういう経緯で出来たのか、男らしい味覚女らしい味覚ってなんなのか、食に関するあらゆることを知りたいと思いました。
このブログはそんな感じです。食文化とその他のことについて、適当に無責任に考えついたことを書きます。